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震災相談から得た体験

 

二 口 彰 子
(神戸市東灘区)

 

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地震が起きたとき、目を覚ました私の前の雨戸、ガラス戸ははじかれたように、庭に倒れていきました。自宅が全壊という惨い目会い、大阪府枚方市の古い公団住を避難住宅として1年有余を過ごすこととなり、家の様子を見るために神戸と往復する日々が続きました。
それまでの行政相談活動は、東灘区役所において、日高先生をはじめとする3人の男性委員と定例相談所を行っていましたが、夏までは区役所に被災者が溢れかえる状態で、場所もなく、相談所を再開する目途も立たない状態でした。
それでも、秋が過ぎる頃から区役所の一角で相談をはじめることができるようになり、冬には行政監察事務所主催の震災復興相談所に参加するなど、少しずつ行政相談の活動をするようになりました。
家は平成8年3月に再建し、1年2か月ぶりに、神戸に戻ることができました。
この間、相談所で受けたり、近所の方から震災に関する相談を受けました。その中で、次のような私道に関する苦情をいくつか受けましたが、行政が介入出来ないと聞いていたことから、解決策を示すことが出来ませんでした。
1 「公道に一番近い家が、震災後早々に再建したが敷 地ぎりぎりに建てられており、その横を通って奥にある自宅を再建したいと思っても、建築材料を運ぶトラックが通れないため困っている。」というのです。建築基準のことは別として、建てられるのであれば、小さな車で運搬するより仕方がないでしょうと助言し ました。
2 ご近所の方から、「家を再建中だが、私道に面した 道路沿いの側溝が地震で壊れて雨水の流れ出るところがない。」という相談を受けました。
私自身の家の前 の道側溝が壊れていたのですが、家を再建するに当たって、市の工事を待っている余裕がなく、自費で修復しました。まして、私道では自分で作り直すより仕方がないと思いましたので、そのとおりのことを申し上げました。
3 「共有の私道を、近所へ断りもなく車で往復する人がいるので迷惑している。」という相談です。民法上の問題ですし、明確な回答は出来ませんので、専門の人に聞いてもらうようにしました。
「私道」は私有地であるから、行政相談委員が扱うことは難しいのですが、震災により多くの問題が発生しています。どこかで、私道に関する紛争処理についての解決条件などを明示してほしいと思いました。

 

 

 

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